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住職の顔の見える寺をめざして 

法話Buddhist sermon


芸術は爆発だ!


曹洞宗松雲山長光寺 
         住職 福島 伸悦

 

「芸術は爆発だ!」と名言を残したのは画家・故岡本太郎氏です。私の記憶の中にあるのは1970年に行われた大阪万国博覧会のモチーフになった巨大な「太陽の塔」の存在です。芸術作品についてさほど興味もない門外漢な私にとって「太陽の塔」は素晴らしい作品だなんて微塵も思っていませんでした。それが半世紀たった今、「芸術は爆発だ!」というフレーズがふと脳裏に蘇ってきて、良いとも思わなかった「太陽の塔」が目に浮かんできました。不思議な気持ちですが岡本氏がいかに強烈に私の中に生きていたかという事を考えると、芸術とはすごいなと改めて思いました。

岡本氏は、「芸術というのは生きることそのものである。人間として最も強烈に生きるもの、無条件に生命を突き出し爆発する、その生き方こそが芸術なのだ。そして、人生は本来、瞬間瞬間に、無償、無目的に爆発し続けるべきだ。いのちの本当の在り方だ。」と少し過激的ではありますが、大変示唆に富んだメッセージを残されておられます。

爆発とは、形あるものを破壊することです。つまり創造的な作品を作るためには、これまでの既成観念を取り払わなければ新しいものは生まれないという事です。芸術は、人間世界のちまちました利害関係や損得勘定を離れ、常に過去を否定し乗り越えてきたからこそ、支持され作品として残ってきたのだと思います。「芸術は、うまくあってはならない、綺麗であってはならない、ここちよくあってはならない」とはまさに作品の中に作為や自己満足があってはならないということを強調されています。

私たちはというと、過去の思い出や良かったことに囚われてしまいがちです。すると身動きが取れなくなり、新しい挑戦が出来なくなってしまいます。水がいっぱいのコップに、さらに水を注いでも零れ落ちてしまいます。新しい水を入れるためには、コップを空にしなければ入らないように、私たちも囚われているものを捨てる勇気を持たなければなりません。囚われない生き方、飄々とした生き方が出来れば少し肩が軽くなると思いませんか。

  

 


            

 

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 顔の見える寺を目指して




エンゲージッド・ブッディズム(Engaged Buddhism)?


聞き慣れない言葉かもしれません。「密接にかかわる」「従事する、参加する」という意味で、「行動する仏教」と訳すことができます。ベトナム僧・ティク・ナット・ハン師が提唱したこの教えが、全世界の仏教徒に浸透しています。人との関わり、地域社会との関わり、自然とのかかわりという自分を取り巻くものと密接に関わり、行動参加していこうという考え方です。
 国際布教師(1980年〜1990年)としてアメリカに渡り、アメリカに根付きつつある、抹香臭くないダイナミックな生きた仏教に出会い、僧侶としての自覚を新たにしました。そして、仏教の持つ限りない可能性と思想の深さ、そして、社会的使命を再発見したのです。いま振り返ってみると、アメリカでの十年という歳月は、色々な方との出会いの中で私にとってかけがえのない期間だったと思います。そして今、地域の中で寺の存在価値を高めていくためには、住職の顔が見える具体的な活動をしていかなければならないと実感しています。


 
      福島伸悦(ふくしましんえつ)住職 プロフィール   


長光寺住職(曹洞宗僧侶)。
1952年(昭和27)埼玉県行田市生まれ。
74年駒澤大学仏教学部禅学科卒業、76年曹洞宗大本山永平寺安居修了。80年曹洞宗教化研修所修了、同年5月アメリカ布教のため、曹洞宗北米開教総監部ロスアンゼルス禅宗寺に駐在国際布教師として赴任。82年83年全米アマチュアダンス選手権チャンピオン。90年興徳寺住職として帰国。2005年SOTO禅インターナショナル会長。
現在は、長光寺住職・興徳寺・東泉寺兼務住職を務めるかたわら、SOTO禅インターナショナル相談役、行田市仏教会会長を務める。香道・茶道・俳句など文化芸術への関心も高い。また、地域社会では、出会いと人の輪づくりを目的としたスターダスト・ヒューマン・ネットワーク・ディレクター。

著書


 随流去
幸せに生きる禅の智慧

 
(MOKU選書)
   1620円
(税別)
「流れるままに」
  (北米開教総監部)
   非売品
「道元の世界
 現代に問いかける禅」

  (共著:NHK出版)
   1600円
(税別)